【 毛髪診断士監修 】育毛剤と発毛剤の違いは?それぞれの効果やどっちを選べばいいか解説
掲載日:2023.08.08 更新日:2023.08.08

育毛剤と発毛剤はどちらも似たような字面ですが、どこに違いがあるのでしょうか。
実は、育毛剤と発毛剤では成分や副作用が大きく異なるため、目的に応じて使い分ける必要があります。この記事では、育毛剤と発毛剤の違いについて解説します。
- この記事の監修
2018年アンファー株式会社商品開発課に中途社員として入社。
これまでの経歴としては美容師/美容商品の営業などを経験。
そんな経験を活かし入社後担当したブランドは
男性商品となる「スカルプDブランド」や新規ブランド「DISM」の立ち上げ、
また「スカルプD オーガニックブランド」を担当。
現在は女性商品となる「スカルプDボーテブランド」の商品開発を担当。
育毛剤と発毛剤の違い
育毛剤と発毛剤は同じもののように捉えられがちですが、実は全く異なった特徴があります。主な違いとしては以下の点があげられます。
- 目的
- 分類
- 成分
- 副作用
ここでは、育毛剤と発毛剤の違いについて詳しく解説します。
目的
育毛剤と発毛剤では使用目的が異なります。
育毛剤の目的は現在生えている髪の毛を健康的に育てることです。頭皮を清潔に保ちつつ血行を促進するなどして、髪の毛が太く丈夫に伸びやすい環境を整えます。
一方、発毛剤の目的はより積極的に髪の毛を増やすことです。抜け落ちて減ってしまった状態から新たに髪の毛を生やすことを目的としています。
分類
育毛剤と発毛剤の大きな違いの1つが分類です。
育毛剤は医薬部外品で、発毛剤は医薬品に分類されています。
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律では、医薬部外品を次のように定義しています。なお、内容は一部割愛しております。
一方、医薬品は同法律において次のように定義されています。
- 1.人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物
- 2.人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物
つまり、医薬部外品である育毛剤には育毛に有効な成分が一定以上配合されているものの、作用が緩和です。
一方、医薬品である発毛剤は、発毛するための成分が含まれており、効果が認められているということになります。
成分
育毛剤と発毛剤では配合されている主成分が異なります。
医薬品である発毛剤には、厚生労働省によって発毛効果が認められているミノキシジルという成分が配合されています。
男性型および女性型脱毛症診療ガイドラインでは、ミノキシジルの外用が唯一、推奨度A(行うよう強く勧める)の治療法とされています。
一方、育毛剤は医薬部外品のため、ミノキシジルは含まれていません。頭皮環境の改善や血行促進のための成分が配合されています。
副作用
育毛剤と発毛剤の副作用は下記の表の通りです
育毛剤の副作用 | 発毛剤の副作用 |
---|---|
・赤み ・かぶれ |
・紅斑 ・頭痛 ・動悸 ・かゆみ ・めまい ・毛嚢炎 |
なお、発毛剤にはミノキシジルが含まれているものとします。
育毛剤は医薬部外品であり、厚生労働省によって効果および効能を認められた成分が含まれていますが、医薬品に比べると人体への作用が穏やかであるため副作用のリスクが軽度の場合が多いです。
ただし、体質や体調によっては育毛剤に含まれている成分に対して過敏に反応し、アレルギー症状などを引き起こす可能性があります。
一方で、医薬品である発毛剤は副作用のリスクを伴います。
女性用の発毛剤に含まれるミノキシジルの主な副作用は、適用部位のかゆみ(2.53%~4.04%)や発疹(0.70%~1.40%)赤み(0.51%~1.04%)などです。
また、発症頻度はそれほど高くありませんが、頭痛や動悸、めまい、毛嚢炎の報告例もあります(いずれも0.50%未満)。
育毛剤の効果
医薬部外品である育毛剤には、主に下記の効果が期待できます。
- 頭皮環境を整える
- 薄毛・抜け毛を予防する
- 髪の毛の成長をサポートする
ここでは、育毛剤の効果について詳しく解説します。
頭皮環境を整える
育毛剤には頭皮環境を整える効果が期待できます。
具体的にはアデノシンやグリチルリチン酸ジカリウム、アラントインなど、保湿成分や抗炎症成分が含まれています。
粃糠性(ひこうせい)脱毛症は大量に発生したフケが毛穴につまることで発症リスクを高めますが、原因の1つが頭皮の乾燥にともなうフケの増加です。
育毛剤で頭皮を保湿すると頭皮環境が整うため、乾性フケの発生を妨ぎ、粃糠性脱毛症の発症リスクを下げることが期待できます。
薄毛・抜け毛を予防する
薄毛の原因として、皮脂の過剰分泌や頭皮の炎症が挙げられます。
育毛剤には皮脂や炎症を防ぐ成分が入っているため、薄毛・抜け毛の予防が期待できます。
育毛剤に含まれる成分の例は下記の通りです。
皮脂の抑制 | 炎症の抑制 |
---|---|
・ビタミンC ・イソフラボン ・ドクダミエキス |
・ビワ葉エキス ・ユーカリエキス ・グリチルリチン酸ジカリウム |
髪の毛の成長をサポートする
髪の毛の成長をサポートすることも、育毛剤の効果の1つです。
例えばタマサキツヅラフジアルカロイドや酢酸-DL-α-トコフェロールを配合した育毛剤には血液の循環を促進し、発毛促進因子である「FGF-7」の生成を促進することが分かっています。
髪の毛が成長するためには毛母細胞の分裂が欠かせませんが、細胞分裂のエネルギーとなるのが血液により運ばれる栄養素です。
そのため、育毛剤によって血液の循環が促進されると、髪の毛の成長をサポートする効果が期待できます。
発毛剤の効果
医薬品である発毛剤を使用すると、壮年性脱毛症における発毛、育毛及び脱毛(抜け毛)の進行を予防する効果が期待できます。
簡単に言うと以下の2つの効果になります。
- 新たに髪の毛を生やす
- 今ある髪の毛の成長を促す
ここでは、発毛剤の効果について詳しく解説します。
新たに髪の毛を生やす
発毛剤に期待できる効果の1つが新たに髪の毛を生やすことです。
発毛剤にはミノキシジルが含まれていますが、現在のところ厚生労働省によって発毛効果を認められた成分はミノキシジルのみです。
男性用の発毛剤にはフィナステリドやデュタステリドなどの成分が含まれていますが、フィナステリドやデュタステリドには発毛効果ではなく、抜け毛の予防効果が認められています。
また、フィナステリドやデュタステリドは男性ホルモンにアプローチする成分のため、女性の薄毛には効果が期待できません。
女性もミノキシジルの含まれている発毛剤を使用することで、新たに髪の毛を生やせるでしょう。
今ある髪の毛の成長を促す
発毛剤には頭皮環境を整える成分も含まれています。
具体的にはトコフェロール酢酸エステルやヒノキチオールが頭皮の炎症を抑え、環境を整える効果があるといわれています。
頭皮環境が整うことで、今ある髪の毛も健やかに成長させる効果も期待できるでしょう。
育毛剤がおすすめの人
育毛剤がおすすめの人の特徴は以下の通りです。
- 今ある髪の毛の健康を保ちたい人
- 薄毛がそれほど進行していない人
- 将来の薄毛を予防したい人
- 発毛剤の副作用が心配な人
育毛剤の目的は現在生えている髪の毛を強く成長させることです。そのため、ある程度進行した薄毛に対してはあまり効果が期待できません。
薄毛がそれほど進行していない人や、将来の薄毛を予防したい人には育毛剤がおすすめと言えるでしょう。
また、体質や持病などにより発毛剤が利用できない方は、医師と相談のうえで育毛剤を利用するのがおすすめです。
発毛剤がおすすめの人
発毛剤がおすすめの人の特徴は以下の通りです。
- 髪の毛を増やしたい人
- 分け目や地肌が目立ちはじめた人
- 髪の毛全体のボリュームが減少してきた人
育毛剤の目的は主に抜け毛を予防することのため、より積極的に髪の毛を増やしたい人には発毛剤の使用がおすすめです。
特に分け目や地肌が目立ちはじめた人や、髪の毛全体のボリュームが減少してきた人は、育毛剤ではなく発毛剤を使用した方がよいでしょう。
育毛剤と発毛剤の特徴を知り、自身に適したものを使用しましょう
育毛剤には主に現在生えている髪の毛を強く成長させ、抜け毛を予防する効果が期待されています。一方、発毛剤には新たに髪の毛を生やす効果が期待されています。
目的に応じて両者を使い分けることが重要です。
なお、発毛剤は医薬品のため、基本的に医師の診察を受けて処方してもらう必要があります。
副作用のリスクもあるため、自己判断で海外から輸入して利用することは避けてください。


- この記事の監修
2018年アンファー株式会社商品開発課に中途社員として入社。
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