【 毛髪診断士監修 】【頭皮のかゆみの原因】頭皮トラブル・皮膚疾患別に解説!今から始める対策
掲載日:2025.03.12 更新日:2025.03.12

頭皮にかゆみがある原因は複数あります。なかには放置すると症状が悪化し、抜け毛などの頭皮トラブルにつながる恐れがある皮膚疾患もあるため、早期発見が大切です。この記事では頭皮にかゆみが出る原因や病気の可能性、および予防法について解説します。
- この記事の監修

日本毛髪科学協会 毛髪診断士
吉田 愛(よしだ あい)
2015年アンファー株式会社入社。スカルプDのマーケティング、経営企画を経験。
2019年から商品開発に従事し、スカルプD ボーテブランドの商品開発責任者を担当。
頭皮のかゆみの原因①頭皮トラブル
頭皮のかゆみは、以下の原因により頭皮トラブルが起こっていることにより発生している可能性があります。
- 乾燥
- 皮脂
- ストレス
自分の頭皮の状態をチェックし、なぜかゆみが出るのかメカニズムについて知っておきましょう。
乾燥
頭皮にかゆみが出る原因の1つが乾燥です。健康な状態の頭皮は、汗と皮脂で構成される皮脂膜に覆われており、肌内部の水分が蒸散するのを防いでいます。
しかし、何らかの原因により皮脂膜が失われて肌内部の水分が蒸散すると、頭皮の乾燥を招きます。
頭皮が乾燥すると肌の内部にある、かゆみを伝える神経が表皮近くに伸びてくるため、少しの刺激でかゆみを感じやすくなるのです。
頭皮が乾燥する主な原因は以下の通りです。
- 紫外線
- 冬場の空気の乾燥
- エアコンによる部屋の湿度の低下
- 洗浄力が強すぎるシャンプー
- 長時間のドライヤー
- 加齢など
皮脂
皮脂も頭皮にかゆみを引き起こす原因の1つです。
適度な皮脂は頭皮のバリア機能を保つために欠かせませんが、過剰な皮脂の分泌は頭皮トラブルを招きやすくなります。
常在菌の一種であるマラセチアが、過剰に分泌された皮脂に含まれる成分のトリグリセリドを遊離脂肪酸に分解すると、肌を刺激して炎症を引き起こすリスクが増加します。
過剰な皮脂が引き起こすのはかゆみだけではありません。
皮脂に含まれるタンパク質やアミノ酸が分解されると、不快な臭いが生じるリスクもあるため注意が必要です。
皮脂が過剰に分泌される主な原因は以下の通りです。
- 食事の乱れ
- 洗髪不足
- ビタミン不足
- ホルモンバランスの乱れ
- 保湿不足など
ストレス
ストレスも頭皮のかゆみを招く原因の1つです。
精神的なストレスが原因で自律神経が乱れると、かゆみの原因物質であるヒスタミンが過剰に分泌されます。
また、皮脂の分泌が増えたり血行不良が起きたり、頭皮環境の悪化を招く恐れもあります。
イライラしたことで頭皮をひっかいてしまい傷がつき、かゆみが増大することもあるため、ストレスはかゆみの大敵と言えるでしょう。
精神的なストレスが溜まる原因は人によって異なりますが、例としては以下が挙げられます。
- 過労
- 睡眠不足や睡眠の質の低下
- 職場の人間関係
- 家庭内の不和
- 就職や進学にともなう環境の変化など
頭皮のかゆみの原因②皮膚疾患
頭皮のかゆみは以下に代表される皮膚疾患が原因で起こるケースもあります。
- 皮脂欠乏性湿疹
- 脂漏性皮膚炎
- 接触性皮膚炎
- 頭部白癬
- 乾癬
上記の皮膚疾患は放置すると悪化する恐れがあるうえ、しばしば慢性化して治りにくくなるため、発症が疑われる際には早めに皮膚科で相談しましょう。
皮脂欠乏性湿疹
皮脂欠乏性湿疹は肌が乾燥して魚のウロコのような鱗屑が生じ、かゆみや赤みを引き起こす病気です。
どちらかといえば皮脂の分泌量が減少するご高齢の方に多く見られますが、生活環境の乱れやその他の肌の病気が原因で皮脂欠乏性湿疹を発症するケースもあります。
例えば熱すぎるお湯で身体を洗ったり、洗浄力の強すぎるシャンプーを使っていたりすると、頭皮の乾燥により皮脂欠乏性湿疹を発症するリスクが増加します。
その他、もともとアトピー性皮膚炎をお持ちの方は、乾燥により皮脂欠乏性湿疹を併発する可能性もあるため注意が必要です。
脂漏性皮膚炎
脂漏性皮膚炎は皮脂の過剰な分泌により、常在菌の一種であるマラセチアが異常に繁殖する病気です。
マラセチアが皮脂を分解する際に生じる遊離脂肪酸による刺激が、肌の炎症を起こし発症します。
脂漏性皮膚炎の原因は明らかになっていませんが、生活習慣の乱れや誤ったヘアケア、ストレス、ホルモンバランスの乱れによる皮脂の増加が発症リスクを高めると考えられています。
接触性皮膚炎
接触性皮膚炎とは、特定の物質に触れることで炎症が起きる病気です。
発症するとかゆみ以外にも肌の赤みや腫れ、ヒリヒリとした痛み、小水疱、皮むけなどを生じやすくなります。
接触性皮膚炎は大きく「刺激性接触皮膚炎」と「アレルギー性接触皮膚炎」の2つに分けられます。
刺激性接触性皮膚炎 | アレルギー性接触性皮膚炎 | |
---|---|---|
特徴 | 有害物質や化学物質が肌を損傷することで発症する | 肌に触れた物質に対して免疫系が反応を起こすことで発症する |
原因物質 | 酸性・アルカリ性の化学物質や化粧品、金属、ゴム、洗剤など | 化粧品やヘアケア商品、アクセサリー、衣服、ペットの毛など |
頭部白癬
頭部白癬はカビの一種である皮膚糸状菌による感染症の一種です。
水虫を引き起こすのと同じ真菌である皮膚糸状菌に頭皮が感染すると、頭部白癬もしくは「しらくも」と呼ばれる病気を引き起こします。
頭部白癬の代表的な症状は乾燥したうろこ状の斑、および斑状の抜け毛です。
原因としては感染者との接触やペットからの感染、コンタクトをともなうスポーツ、ステロイド製剤の誤用などが挙げられます。
感染力が非常に強くて治りにくいため、感染者との接触を避けるのが大切です。
乾癬
乾癬は肌の炎症が慢性的に生じる病気です。
発症すると肌が赤く盛りあがり、表面が白くなって魚のウロコのような鱗屑がポロポロ剥がれ落ちます。
かゆみの程度は人によりさまざまですが、入浴して身体が温まった際などに症状が強く出る傾向にあります。
なお、乾癬の原因に関しては明確にされていません。
現在のところ乾癬を発症しやすい体質に、環境的な要因が加わり発症リスクを高めるのではないかと考えられています。
頭皮のかゆみはセルフケアで予防
頭皮のかゆみはさまざまな原因で起こるため、以下の6つから自分に合った方法で予防に努めるのがおすすめです。
- 紫外線対策をする
- 食事を見直す
- 睡眠時間を確保する
- マッサージをする
- 薬用シャンプーに変える
- 育毛剤を使用する
ここでは、自分でできる頭皮のかゆみの予防法について解説します。
紫外線対策をする
頭皮のかゆみは紫外線による乾燥で起こるケースも多いため、外出の際には紫外線対策を忘れないようにしましょう。
外出の前に頭皮専用の日焼け止めを塗布し、つばの広い帽子や日傘で紫外線を遮るのがおすすめです。
汗をかくと日焼け止めがとれてしまい効果が減少するため、定期的に塗り直しましょう。
紫外線は夏や晴れの日だけでなく、冬や曇りの日にも降り注いでいるうえ、屋内でも日焼けする可能性があります。
そのため、紫外線対策は一年を通して行うのが基本です。
食事を見直す
頭皮のかゆみは過剰な皮脂の分泌で起こる可能性もあるため、普段の食事を見直すのもポイントの1つです。
脂っこい食べ物やスナック菓子、ジャンクフードなどは脂質を多く含むため、食べすぎないようにしましょう。
カフェインや辛い食べ物など、刺激が強い食品も皮脂の分泌量を増加させるため注意する必要があります。
また、皮脂の分泌量をコントロールするはたらきがあるビタミンB2・B6を積極的に摂取するのがおすすめです。
頭皮のターンオーバーを正常に保ち、頭皮の環境を整えるにはたんぱく質やカリウム、不飽和脂肪酸の摂取も欠かせません。
睡眠時間を確保する
睡眠不足はターンオーバーの周期を乱したり、皮脂の過剰な分泌を促進したりして、頭皮のかゆみを生じる原因となります。
さらにストレスにより血行が悪くなり、頭皮環境を悪化させる結果にもつながるため、毎日の睡眠時間を確保するのが大切です。
適切な睡眠時間については専門家の間でも意見が分かれますが、成人であれば1日あたり6~8時間の睡眠を確保しましょう。
睡眠の質を向上させるためには寝る直前のスマホやテレビの視聴を避け、早寝早起きして朝日を浴びるのがおすすめです。
マッサージをする
頭皮環境を改善してかゆみを予防するなら、頭皮マッサージが効果的です。
マッサージにより血液の循環が促進されると、頭皮環境を整えるための栄養が頭皮に送られやすくなります。
頭皮マッサージは以下の手順で行いましょう。
- 1.頭部の真ん中を指圧
- 2.頭頂部の周りを指圧
- 3.生え際を指圧
- 4.頭皮全体をマッサージ
- 5.側頭部・頭頂部を手のひらで圧迫
指の腹で地肌を動かすイメージでマッサージするのがポイントです。爪や指の先で頭皮を傷つけないよう気をつけましょう。
薬用シャンプーに変える
毎日シャンプーしているのに頭皮のかゆみや赤みが出る方は、薬用シャンプーに変えてみてください。
薬用シャンプーは医薬部外品の認定を受けており、かゆみやフケなどの頭皮トラブルを改善するのに効果的な成分が配合されています。
頭皮のお悩みに応じて、以下の成分を配合した薬用シャンプーを選ぶとよいでしょう。
有効成分 | 働き | こんな人におすすめ |
---|---|---|
グリチルリチン酸ジカリウム | 抗炎症作用 | 頭皮のかゆみや赤みが気になる人 |
酢酸DL-α-トコフェロール | 血行促進作用 | 頭皮の乾燥が気になる人 |
ピロクトン オラミン | 抗菌作用 | 皮脂が過剰に分泌している人 |
薬用シャンプーに変えたからといってすぐに効果が出るわけではありませんが、継続して使用すると頭皮環境が次第に改善し、かゆみの予防につながります。
育毛剤を使用する
頭皮のかゆみを予防するには育毛剤を使用し、頭皮環境を改善する方法があります。
厚生労働省では育毛剤に関して以下の効果・効能を認めています。
- 育毛
- 薄毛対策
- かゆみ対策
- 脱毛の予防
- 毛生促進
- 発毛促進
- ふけ対策
- 病後・産後の脱毛予防、養毛
育毛剤には頭皮環境を改善するための有効成分が含まれているため、継続的に使用するとかゆみを予防・改善する効果が期待できます。
育毛剤に含まれているかゆみ防止が期待できる主な成分は以下の通りです。
- アラントイン
- ヒノキチオール
- ジンゲロール
- ニンニクエキス
- グリチルリチン酸など
頭皮のかゆみはさまざまな原因により発生します
頭皮のかゆみは乾燥や皮脂の過剰な分泌、ストレスなどさまざまな原因により発生します。
かゆみだけでなく頭皮の赤みや小水疱、鱗屑などをともなうケースでは、何らかの病気を発症している可能性もあります。
毎日の洗髪にもかかわらず頭皮のかゆみが出る方は薬用シャンプーに切り替えるほか、生活習慣を見直したり、育毛剤で頭皮ケアしたりするのがおすすめです。
薬用シャンプーや育毛剤の効果が出るまでには時間がかかるため、最低でも半年は継続するのがポイントです。
適切な対処で頭皮のかゆみを予防・改善しましょう。


- この記事の監修

日本毛髪科学協会 毛髪診断士
吉田 愛(よしだ あい)
2015年アンファー株式会社入社。スカルプDのマーケティング、経営企画を経験。
2019年から商品開発に従事し、スカルプD ボーテブランドの商品開発責任者を担当。
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