【医師監修】女性頭皮のフケやかゆみの原因と今すぐできる対処法5選
掲載日:2022/04/20 最終更新日:
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最近、なんだか頭皮のフケやかゆみが気になる……。毎日シャンプーしてるのにどうして?そんなお悩みを抱えた女性は多いのではないでしょうか。そもそもフケやかゆみはどうして起こるの?どうやったら治る?ここではそんな疑問をエイジングケアの専門医がお答えします!正しい対処法を知って頭皮の健康を守りましょう。
【インタビュアー】

Oさん
肌質:乾燥肌
悩み:頭皮の乾燥、かゆみがたまにある。
最近、分け目が以前より薄くなったような気がして悩んでいるアラサー女子。一度気に入ったヘアスタイルは、なかなか変えないことが多い。2ヶ月に一度ほどのペースでヘアカラーをしている。
目次
頭皮のフケやかゆみの正体とは?
⇒古くなった皮膚の角質が剥がれ落ちたもの
どのような人でも生理現象としてフケは出ます。頭皮が健康であれば、フケは目立たないほど小さく、日々のシャンプーで十分洗い流すことが可能です。しかし、何らかの理由で頭皮の皮脂や皮膚常在菌(※)のバランスが崩れると、角質が早く大量に剥がれ落ちるようになり、「大きなフケ」として目立ってしまいます。
※皮膚常在菌…人間の皮膚に通常存在する菌で雑菌や細菌の侵入を防ぐ。頭皮にはマセラチア菌という皮膚常在菌が存在する。フケが発生するメカニズム
人間の皮膚は約一か月のサイクルで新陳代謝(ターンオーバー)を繰り返し、新しい皮膚に生まれ変わっています。頭皮において、この新陳代謝によって古い角質が押し出されて発生するのがフケです。新陳代謝が正しいサイクルで行われないと、フケは過剰に発生してしまいます。

あなたのフケはどちら?主なフケ2種類!
脂脂性フケ | 乾乾性フケ |
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頭皮のフケfやかゆみ、気になる原因は…?

脂脂性フケ | 乾乾性フケ |
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脂皮脂過多(脂漏性皮膚炎)
特に若い方に多い頭皮の過剰な皮脂分泌も、フケやかゆみの原因になります。
洗髪で落とし切れない皮脂が酸化してしまうと、それらを栄養として菌が繁殖してしまいます。菌により頭皮に刺激が加わり、ターンオーバーが乱れることで、フケやかゆみの発生につながるのです。
脂ストレスによるかきむしり
ストレスで免疫機能が低下し、頭皮に湿疹が出ることがあります。この湿疹がかゆみを伴う場合、爪でかきむしることでさらに炎症が広がり、フケやさらなるかゆみの原因につながってしまいます。
乾乾燥
頭皮は本来、天然のバリアである皮脂などの保湿因子を持っています。それらが何らかの理由で崩れてしまうことで起こるのが頭皮の乾燥です。乾燥した頭皮は、外的刺激に弱い状態になることで、ターンオーバーが乱れる原因となり、フケやかゆみを発生させてしまいます。
乾紫外線による日焼け
日焼けは、皮膚に火傷と同様のダメージを与える考えましょう。このダメージによって頭皮のターンオーバーが乱れ、フケやかゆみが起こります。顔や腕が日焼けしたときと同じような赤みや皮のめくれが発生すると考えると分かりやすいでしょう。
脂乾パーマやカラーリング
おしゃれに欠かせないパーマやカラーリングですが、やはり頭皮への刺激は大きいですね。肌に合わない薬剤の使用や高すぎる施術頻度だと頭皮が荒れてしまう可能性があります。頭皮が荒れるとターンオーバーが乱れるので、フケやかゆみにつながってしまうのです。
脂乾食生活の乱れ
皮脂の分泌を促す働きのある脂質が多い食事を好んで摂っていると、過剰に分泌された皮質剥がれ落ちた角質などが混じり合い、脂性フケが出やすくなります。糖質を過剰に摂取すると、消化しきれなかった分がインスリンにより中性脂肪に変えられ、体内に溜め込まれるため注意しなければなりません。
ビタミンB2が不足すると皮脂の分泌量がコントロールできなくなり、肌荒れによる乾性フケのきっかけになり得ます。タンパク質が不足するとコラーゲンが不足し、頭皮の乾燥による乾性フケの増加につながる可能性があります。
脂乾睡眠不足
睡眠不足は美容の大敵といわれますが、頭皮のかゆみやフケの一因となるため気をつける必要があります。睡眠不足が続くと夜間に分泌される成長ホルモンの量が減少し、細胞分裂が活発に行われなくなります。肌の元となる角質は基底細胞が活発に分裂して作られるため、睡眠不足が続くとターンオーバーのサイクルが短くなり、未熟な角質細胞が剥がれ落ちて細かいフケが出やすくなるのです。
また、睡眠時間自体は十分であっても、夜中に何度も目が覚めたり、早朝に覚醒したりと睡眠の質が確保されていないと意味がありません。寝る直前までスマホやテレビの明るい画面を見ていると、脳が興奮して睡眠の質が低下するため気をつけましょう。
【年代別】女性のフケが増える原因

女性のフケが増える原因は年代によりやや異なります。ここでは、10代・20代・30代・40代・50代に分けて、女性のフケが増える原因を解説します。
10代
10代女性のフケが増える主な原因としては、以下の3つが挙げられます。
- ホルモンバランスの乱れ
- 不規則な生活習慣
- 間違ったヘアケア
10代女性のフケが増える原因の1つがホルモンバランスの乱れです。性ホルモンの分泌量が増加する思春期から20代前半にかけ、皮脂の分泌量が急激に増加します。過剰に分泌された皮脂が角質と混じるとフケが出やすくなるうえ、アクネ菌の増加によりニキビも出やすくなります。
ニキビが青春のシンボルと呼ばれるのも、思春期に皮脂の分泌量が増加して発症リスクが高くなるためです。中学生・高校生になると夜更かしするなど、不規則な生活習慣が原因でターンオーバーの周期が乱れ、フケが出やすくなる可能性もあります。肌質に合わないシャンプーなど、間違ったヘアケアも頭皮環境の悪化を招き、フケが発生するリスクを高めます。
20代
20代女性のフケが増える主な原因としては、以下の3つが挙げられます。
- ストレス
- 睡眠不足
- 皮脂の過剰な分泌
20代女性のフケが増える原因の1つがストレスです。20代になると専門学校や短大、大学を卒業して就職する方が多くなります。就職にともない引っ越しをしたり、新しいコミュニティに所属したりすると、慣れないうちはストレスにより自律神経のバランスが乱れやすくなります。
自律神経のバランスが乱れるとターンオーバーのサイクルに狂いが生じ、頭皮環境の悪化にともないフケが出やすくなるのです。自律神経の乱れは睡眠の質の低下も招くため気を付けなければなりません。また、20代前半は10代に引き続き皮脂の分泌量が多い年代のため、脂性フケに注意する必要があります。
30代
30代女性のフケが増える主な原因としては、以下の3つが挙げられます。
- ホルモンバランスの変化
- 乾燥
- ストレス
30代になると女性のなかにはホルモンバランスが変化し始める方が見られ始めます。ホルモンバランスの変化により女性ホルモンの一種であるエストロゲンが減少すると、肌のうるおいが失われるため乾性フケが出やすくなります。
エストロゲンが別名「美肌ホルモン」と呼ばれるのも、肌のみずみずしさや弾力を保つ働きがあるためです。また、女性の30代は結婚や出産など生活習慣が大きく変化する時期にもあたるため、ストレスによる自律神経の乱れが、頭皮環境の悪化およびフケの発生リスクを高める可能性があります。
40代
40代女性のフケが増える主な原因としては、以下の3つが挙げられます。
- 更年期
- 皮脂の増加
- 白髪染め
閉経の前後10年間を更年期と呼びますが、40代になると更年期を迎える女性が増加します。更年期に入ると女性ホルモンの分泌量が減少するため、肌のうるおいが失われて乾性フケが出やすくなります。
一方、女性ホルモンの分泌量が減少すると、相対的に体内の男性ホルモンの量が増加するため、脂性フケにつながる恐れもあるため注意が必要です。40代女性のなかには白髪染めを多用する方もいますが、白髪染めの成分により頭皮環境が悪化し、フケが出やすくなるケースもあります。
50代
50代女性のフケが増える主な原因としては、以下の3つが挙げられます。
- 乾燥
- ストレス
- 睡眠不足
女性が50代になると次第に皮脂の分泌量が減少し、頭皮が乾燥するため乾性フケが出やすくなる傾向にあります。特にホルモンバランスの乱れによりびまん性脱毛症を発症すると、地肌が透けて見えるため乾燥を招きやすくなります。
また、50代になると親の介護などでストレスを抱える女性も多く、睡眠の質が低下するなどして頭皮環境が悪化し、フケが出やすくなるため注意が必要です。加齢にともなう運動量の減少も、夜間の睡眠の質を低下させる原因の1つです。
すぐできる!フケとかゆみの対策方法

正しい方法で洗髪する
【正しいシャンプーの仕方4step】
- ぬるま湯でしっかり予洗いする
- 手でよく泡立てたシャンプーで洗髪する
- 毛の流れに逆らうようにすすぐ
- 軽く水分を取ってからトリートメントをする
パーマやカラーを少しお休みする
パーマ液やカラーは頭皮に負担をかけます。短期間で定期的にパーマやカラーをかけているとダメージが蓄積され、頭皮の健康が損なわれてしまう可能性も。フケやかゆみが気になり始めたら症状が落ち着くまでパーマやカラーはお休みしましょう。頭皮の状態が回復し、ターンオーバーが正常化すれば症状は改善されます。
紫外線対策をする
紫外線は、帽子と日傘を併用する、髪の分け目を定期的に変える、などの工夫でずいぶん影響を減らせます。
髪や頭皮用の日焼け止めスプレーを使用するのもよいでしょう。スプレーを使用した日はいつもより丁寧にシャンプーを行ってください。すすぎ残しがあると頭皮にダメージを与え、かえってフケやかゆみの原因になる恐れがあります。
頭皮を冷やして叩く
人間の爪の裏はどんなに清潔にしているつもりでも基本的に汚れが付着しているものです。そのため、爪で頭皮をガリガリひっかいてしまうと炎症の原因に。かゆみを我慢できない場合は、頭皮を冷やしながら軽く叩くと症状が軽減されます。布を巻いた保冷剤や冷やしたおしぼりなどを頭皮にあててクールダウンしましょう。
ストレスを上手に発散する
髪や頭皮によいストレス発散方法としては、血流がよくなる軽い運動がおすすめです。ウォーキングやストレッチなど日々のちょっとした運動で体も心もほぐすことができます。
また、睡眠でもストレスは発散されます。髪の状態がよくない、体全体が疲れていると感じたら早めに眠ることを心掛けましょう。
食事の栄養バランスを見直す
健康的な頭皮を保つためには、毎日の食事で摂取する栄養バランスを見直す必要があります。以下に例として挙げる糖質・脂質を多く含む献立ばかり食べすぎないように注意してください。
- 揚げ物
- スナック菓子
- コンビニの食品や外食
- ショートケーキなどの洋菓子
- バターやマーガリン
また、肌質に合わせて以下の脂質を抑える働きのある栄養素、または乾燥肌を改善する栄養素を摂るよう意識しましょう。
栄養素 | 期待できる働き | 多く含む食品 |
---|---|---|
ビタミンB2 | 皮脂の過剰分泌を抑える | 赤パプリカ・ホウレンソウ・ブロッコリーなど |
必須脂肪酸 | 皮脂の原料となる | 青魚・エゴマ油・鶏卵・豚スモークレバーなど |
亜鉛 | 肌のバリア機能を維持して乾燥を防ぐ | 牡蠣・スルメ・牛肉・チーズ・納豆など |
セラミド | 細胞間脂質の主成分となり、頭皮の乾燥を防ぐ | 米・大豆・コンニャク・ホウレンソウなど |
αリノレン酸 | セラミドを作る際の原材料となる | 牛乳・大豆・小麦・キノコ類など |
質の高い睡眠時間を確保する
頭皮環境を改善して頭皮のかゆみやフケを予防するためには、質の高い睡眠時間を確保するも欠かせません。適切な睡眠時間に関しては諸説ありますが、成人女性は1日あたり6~8時間の睡眠を取るよう推奨されています。
睡眠の質を高めるためには可能な限り早寝早起きを心がけ、日中に適度に身体を動かすよう意識してください。早起きして日中に身体を動かすと、夜に自然な眠気が訪れやすくなります。スマホやテレビの明るい光は脳を興奮させるため、寝る直前まで見ないようにしましょう。
セルフケアで頭皮の健康を守ってきれいな髪を育てよう
女性のフケ毛目立つようになる主な原因は、ターンオーバーの乱れによる頭皮環境の悪化です。ターンオーバーが乱れる原因は、栄養不足や睡眠不足、誤ったヘアケア、ストレス、ホルモンバランスの乱れなどさまざまです。
年代によりターンオーバーが乱れる原因はさまざまなため、自分の生活習慣を振り返り対策を講じる必要があります。自分にできるセルフケアに取り組み、頭皮の健康を守ってきれいな髪の毛を育てましょう。
浜中先生からの
ワンポイントアドバイス
- フケやかゆみがでたらまずは皮膚科へ!絶対に長引かせないこと!
- 頭皮や体のケアはきれいな髪への先行投資!早くから考えましょう。
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実はひとえにフケとはいっても、大きく分けて2つの種類があります。自分で見分ける方法を簡単にご紹介しますね。